異なる通貨を交換するために眠らないで活動する地球規模の市場 相対取引で行われている世界の為替市場

世界には200以上の国があると言わ れているが、その多くは独自の通貨を 持っており、各国内ではその通貨が通用 している。

しかし、国をまたいだ取引を 行う場合には通貨を交換しなければなら ない。

この通貨の交換を行うのが為替市 場だ。

例えば日本から米国に旅行に行く 時には両替屋で円を米ドルに両替する が、この時に円を売ってドルを買ってい ることになる。

米国から帰ってきて残っ たドルを円に換えるときはドルを売って 円を買う。

この取引を行っているのが外 国為替市場だ。

為替市場といっでもどこかに1つの取 引所があってそこで取引されているわけ ではない。

各国の銀行や証券会社などが それぞれ外貨を買う・外貨を売る相手を 見つけて取引する相対取引が日夜、無数 に行われており、そうした相対取引のかたまりが為替市場なのだ。

為替は変動相場制 現在、円や米ドル、ユーロ、ポンドな どは各通貨に対して常時変動している。

これを変動相場制と呼ぶが、1973年 まで世界は金をベースにした固定相場制 だったのだ。

変動相場制では各通貨同士 のレートは為替市場での取引を通じて、 それぞれの通貨の需給によって決まるた めに常にレートが変動している。

海外で取引を行う企業から、海外の証 券を売買する投資家、海外旅行に行く人 までさまざまな人が為替市場に参加して いるが、これらは直接、為替市場で取引 を行っているわけではない。

為替市場は 信用がある決まった金融機関同士だけが 取引できる閉鎖的な市場なのだ。

普通の 人や一般の企業がそこに参入することは できない。

そこで一般の企業や普通の人 は外貨を売買するときには、為替市場に 参加している金融機関と取引をして通貨の交換を行なう間接的な参加者なのだ。

FXもこの仕組みを利用している。

F X業者は直接、為替市場に参加している のではなく「カバー先」と呼ばれる金融機 関を通じて顧客の注文を為替市場につな げているのだ。

24時間眠らない市場 為替市場は世界のすべての国の通貨が 取引される市場だ。

日本が夜中で銀行が 閉まっていても欧州や米国では為替取引 を休む訳にはいかない。

だから為替市場 は24時間眠ることなく動き続けている。

朝から午後までで1日の取引が終わる株 式市場とはここが大きく違う点だ。

土日 は為替市場も休みとなるが、休日は国に よって異なるため、ある国の為替市場は 止まっていても他の地域では動いてい る。

日本では大晦日から翌年三箇日は休 日だが、米国や欧州が休むのは1日だけ。

株式市場と違ってFXは正月三箇日でも 取引することができるのだ。

為替市場の24時間は、まずニュージー ランドのウェリントン市場から始まり豪 州のシドニー、そして東京の順にオープ ンし、香港、シンガポールと続き、東京 市場が閉まる頃にフランクフルト(独)、 パリ(仏)、ロンドン(英)に取引が引き継 がれ、米国のNY市場の取引が始まる。

NY市場が閉まる日本時間の午前5時ま たは6時が一応、為替市場の1日の終り となる。

ただし、取引所のように「何時 何分に始まって、何時何分に取引終了」 という厳密な区切りはない。

24時間動いている為替市場にアクセス するFXはどの時間でも取引することが できるが、各市場によって性格というも のがある。

取引量が多いのは東京、ロン ドン、NYで世界の為替取引のほとんど をこの3市場が占めている。

また東京市 場は3市場の中では比較的変動が激しく ない市場だが、取引の中心が東京・ロン ドン・NYへと移行するタイミングは レートが大きく変動することが多い。