申告分離課税、損益通算、損益繰越など、知って得するFXの税金知識

12年1月よりFXの税金が変わった

FXで稼いだ利益は当然、税金を収めなければならない。

数年前、FXで巨額の利益を上げた主婦が脱税で摘発されたことがあった。

大きく報道されたので覚えている人も多いかもしれないが、そのほかにもFX絡みでの脱税事件は多いと言われている。

もちろん不心得なことを行えば、それ相応の罰が待ち構えている。

くれぐれも気をつけて、儲けた利益はきちっと申告して欲しい。
 とはいうものの、これまでFXの税金にも問題がなかったわけではない。

以前は、FXの利益は雑所得として計上され、給与所得などと合算して、所得が上がれば税率も段階的に上がる累進制で課税されるしくみだった。

だからFXで利益を上げても税率が上がって、場合によっては所得税、住民税合わせて50%以上もの税金を収めなければならないケースもあったという。

しかし、その一方である種のFXは課税のしくみが異なるという、不思議な状態だった。「くりっく365」と「大証FX」というFXは、そのほかのFXと異なり、税金は株式投資などと同じ申告分離課税で、一律で儲けの20・31‐5%(所得税15%十住民税5%十復興特別税O・315%)を納税すればいいというしくみだった。同じFXなのに2種類の課税方式が存在していたのだ。FX投資家から不満の声が絶えなかったのはいうまでもない。

しかし、その状態も12年1月から解消された。

くりっく365、大証FX以外のFX(相対取引によるFX。店頭FX、OTCなどと呼ばれる)にも、同様に申告分離課税が適用されたのだ。

これで、OTCのFXで儲けても、税率は20・315%で変わらず、以前のようにどんどん税率が上がるということはなくなったのだ。

利用できる、損益通算と損益繰越

 12年の改正は税率が一律になっただけでなく、そのほかにもFX投資家にとってうれしい改正になっている。
 FXだけではなく、金や原油の先物取引、225先物など取引所において行われる商品先物、株価指数先物取引との損益通算もできるようになったのだ。

 例えば、FXで年100万円利益を出したら、それだけなら税金は20万円強取られるが、仮に日経225先物などで
50万円の損を出していたとすると、FXの利益100万円一225先物の損失50万円で、課税対象額は50万円。

収める税金は10万円強に圧縮できるのだ。

これが損益通算というしくみだ。

 また損失を3年間繰り越せるようにもなった。例えばある年にFXで100万円の損をしたとする。

翌年30万円の利益をあげたら、普通は30万円に税金がかかるが、前年の損失100万円のうち30万円の損失を繰り越すことで利益はゼ囗円になり税金はかからない。

さらにその次の年に上げた利益からも70万円分まで損失を繰り越し、利益を縮小・消すことが
できる。

これが3年間有効というわけだ。

FXで少しでも利益が出れば必ず税金を納めなければならないと思いがちだが、これは間違いだ。

年間のFXの利益が20万円以下の場合は、納税は免除されるし、そもそも申告の必要もないのだ(ただし、給与所得などが2000万円以上
の場合は申告が必要)。

また専業主婦やフリーターなど、給与所得がない人も、FX利益を含めた年間所得が38万円以下の場合は申告が不要だ。

ただ、こうした場合でも前述の損益通算や損失繰越をする場合は申告しなければ、これらは認められないので注意しておきたい。