知っていそうで知らないGDPの読み方の基礎を押さえよう

GDPを構成しているもの消費のウェートが大きい

1国の経済力を表す経済指標として最 も使われるのがGDP(国内総生産)だ。

もちろん為替市場への影響度も大きく、 その発表は市場の視線を集める。

よく聞くGDPだが、そのほんとうの 意味を知っているだろうか。

一応ここで おさらいしておこう。

GDPは、1つの 国の中で一定期間に生みだされた生産物 やサービスの付加価値の総額だ。

例えば ある会社が素材を作り、別の会社がそれ を使って最終製品を生産し、さらに販売 会社がそれを買って消費者に売った場 合、素材メーカー、製品メーカー、販売 会社の売り上げを合計するのではなく、 その付加価値(利益)を合算したものがG DPの要素になると考えていいだろう。

GDPの構成要素は大きく分けて消 費、設備投資、公共投資と貿易収支に分 解することができる。

日本でも米国、欧 州でもGDPで最も大きなウェートを占 めるのが消費だ。

例えば日本の2013 年7-9月期の四半期GDP約130兆 円のうち消費(家計消費)は約80兆円で約 6割を占めている。

ただし、家計の消費 が伸びるのは企業が設備投資を増やして 事業を拡大させたり、政府が公共投資を 行なって雇用を生み出したりすることが 要因となってくるので、各項目は密接に 結びついている。

四半期ごとのGDPをチェック 「名目」と「実質」の違い GDPは1年度単位で語られることも 多いが、日本を含め主要各国とも四半 期ごとに公表される。

また「2012年 度のGDPが517兆円」というように 実額で示されることもあるが、多いの は前年比や前期比の成長率の%表示だ。

2012年度のGDP成長率がプラス O・フ%、2013年7-9月期がプラス ー・1%という形で、成長率で比較判断 するケースが為替投資の世界でも一般的 だ。

GDPの成長率が高い方がその国の 通貨にとって買い材料になり、成長率が 低いまだはマイナス成長になればその通 貨の売り材料として働く。

GDPの見方で気をつけておきたいポ イントを知っておきたい。

1つは「名目 GDP」と「実質GDP」の違いだ。

「名目」 はそのものズバリ、単純に金額で表した ものだが、「実質」は物価変動による影響 を除いた数字だ。

インフレになれば名目 GDPは大きくなっても見かけ上、物価 上昇分だけ膨らんでしまっているので、 実質的な価値は見かけよリ小さくなる。

デフレの場合は逆に見かけよりも実質が 大きくなる。

そのためインフレ分を差し 引くことで実質的な価値を表したのが実 質GDPとなるのだ。

成長率を見るときも注意が必要だ。

年 ごと、年度ごとで見る場合はそのまま前 年と比較していいが、四半期GDPの場 合は前年同期比や単純な前期比で見るこ ともあるが、ニュースなどでよく見かけ るのは「前期比年率換算」というもの。

こ れは前期比(2012年フー9月期なら同 4’6月期との比較)の成長率があと3四 半期、つまり1年間続いたとしたら年換 算でどれくらいの成長率になるかを示し たものだ。

計算方法は前期比の増減率に 1を足して4乗したものから1を引き 100を掛けて%表示にする。

2013 年7-9月の日本の実質GDPは前期比 ではプラスO・3%だが年率換算ではプ ラスー・1%になる。

また季節変動を考 慮した季節調整値による数値が取り上げ られるのが一般的だ。

各国のGDP発表は四半期が終わって からややタイムラグがある。

日本の場合 はその四半期の翌々月の中旬、7-9月 期ならば11月の半ばに速報が発表され、 その翌月に改訂値が発表される。

速報値 と改定値で大きく異なるヶ-スもあるの で、為替相場もそれぞれに反応する場合 も少なくない。